国立六大学連携コンソーシアム(千葉大学、新潟大学、金沢大学、岡山大学、長崎大学および熊本大学)は、11月21日、六大学による連携入試事業の中間成果報告として東京工業大学キャンパス・イノベーションセンター東京でシンポジウムを開催し、大学のアドミッション関係者を中心に約100名が参加した。
シンポジウムでは、同コンソーシアム教育連携機構 入試専門部会長を務める塚元和弘 長崎大学理事(教学担当)の挨拶に続き、文科省高等教育局大学振興課大学入試室の山田泰造室長による『高大接続改革の動向について』と題した講演、国大協 木谷雅人常務理事による『大学入学者選抜における国立大学入学者選抜制度の基本方針』と題した講演がそれぞれ基調講演として行われ、参加者からの質問が相次いだ。
基調講演に続き、3つの事例報告が行われた。吉村宰 長崎大学教授からは今年度実施した実証実験の速報報告があり、「正答がない」と言われる多面的・総合的評価において客観性を高めるためのスタンダード確立の必要性が強調された。続いて、平英雄 熊本大学助教からは、グループワークや英語による面接、口述・論述審査を取り入れた同大学のグローバルリーダーコース入試についての実施と追跡状況が報告された。続いて、飯塚誠也 岡山大学教授より、同大学が先導的に取り組んできた国際バカロレア修了生を対象とした入試の実績と今後の展望の報告、高大接続改革の中で求められる資質・能力を多面的に評価しようとする新たな入試の紹介が行われた。
その後、西郡大 佐賀大学教授による指定討論が行われ、「多面的・総合的評価のスタンダードとして、何を個別に検討すべきなのだろうか」、「多面的・総合的評価を反映させた入試改革の成果をどのように評価すべきなのだろうか」といった論点が提供された。続くパネルディスカッションでは、各報告に対して指定討論で示された論点に対して登壇者が回答するという形で行われ、それぞれの立場からの活発な議論が行われた。
最後に、佐野寛 岡山大学理事(教育担当)が閉会の挨拶として「六大学をはじめ厳しい状況に置かれている地方国立大学にとって、入試は優秀な人材を確保するための生命線であり、多面的・総合的評価となると大学は非常に大きなコストをかけて行うもの。今後もご出席の皆様と情報交換をしながら、よりよい入試のありようを探っていきたいと思います」とコメントした。
開会挨拶 塚元和弘 長崎大学理事(教学担当) |
基調講演 山田泰造 文部科学省高等教育局大学振興課入試室長 |